三日月の絆その4

戦士達

戦士達

朝の住宅街、それも休日は穏やかだ。青い空に白い雲がプカプカと浮かび、お日様が元気そうに輝いている。登校時における学生の談笑もなければ、会社に出勤するサラリーマンが乗車する車の排気音もない。静かな、しかし平和な一日。

なんか、ありふれた表現だな、と捻くれた昇はじゃあこういうのはどうだろうか、と別の表現を考える。

朝の住宅街。その休日は戦時中のホロコースト吹き荒れる街中に似通っている。蒼穹の空は酷薄なまでに澄み渡り、白き波は命運無き人々の無念を象る魂の如く宙を彷徨う。太陽の灼熱だけが希望という、しかしもっとも残酷な輝きをもって人々を照らしている事実を彼等は知っているのだろうか。サラリーマンはリストラの嵐が吹き荒れる中、家族共々決して遭難すまいと必死に会社という名の船にしがみ付く一心で出勤し、学生は就職超氷河期を乗り切る目的ではなく日常の惰性の一つとして登校し、自ら進んで学校という監獄へ身を預けに行く。そこにドラマのような展開は何一つなく、今日もそれぞれの作業をこなすために黙々と戦場に戦士達は赴くのだ。