三日月の絆その4

光洋高等学校

光洋高等学校

ひどく切迫した顔付きで知り合いの名を挙げた義兄に、義妹は『はあ?』と間の抜けた声で答えただけだった。

休日、早朝の晴天。場所は県立光洋高等学校。外からは何も聞こえてこない。本来であれば、外で活動を行う部員の掛け声が聞こえてくる。だが先日、光洋高校の一部が崩落。現在一切の部活が休止状態とし、原因の解明を急いでいる模様だ。

そんな休日の、しかも部活禁止令が出ている中で、コアラみたいな生き方をしたいと宣言する端山昇が光洋高校に居るのは、はっきり言っておかしかった。しかし何をする訳でもなく、ただ校内をうろつている辺りはやはりナマケモノなのだろうか。

「残る場所は体育館と教室だな。でも見回りがあとで来るだろうし、朝に仕掛けをする訳にゃいかねえか」

髪をバリバリと掻き毟り、だがその眼は何かを品定めする鑑定人のように細められている。

「あとは夜中に来る、か……『死影』に襲われる可能性は高いが……避けて通れる戦いではないだろうし……街中で戦うのは論外だしな」

まだ、人のいない校内の方が闘いやすい。

欠伸をふあぁぁあ、と眠そうにつき、昇は玄関に向かう。勿論、アパートに帰って眠るためだ。

この場に瑞樹がいたら、嘆かれる事は間違いあるまい。