人格統合方程式
何がどうなっているのかさっぱりわからないのだが、
「まず、司影の『対極分割』における『死影』を『刻印』で消す」
自分に出来る事から。足元から事態を解決していく事は遠回りなように思えるが、もっとも近道の解決法。何より、背伸びしてもろくな事にならない。
「彼女が、叔父様を殺害したのでしょうか?」
「違う、と思うぜ」
自分と五分程度では塔也は殺せない……と言いたい所だが『死影』以上に強力かつ凶悪な人格が無いという根拠はどこにもない。故に『思うぜ』と答えたのだが。
友人が、義妹の叔父を殺害した、などとは考えたくもない。
ふと顔を上げて見ると瑞樹の表情がいつになく険しい事に昇は気付いた。叔父を殺害した可能性のある者が、具体化したからだろう。
「……どうした?」
それでも昇が疑問の形にして問い掛けたのは、どうにかして彼女を落ち着かせるためだ。
「……また兄さんが傷を負うようでしたら、私は、何と言われようと彼女を殺すつもりで仕留めにかかります」
「おいっ!」
昇は思わず立ち上がり、非難の声をあげてしまう。
「その傷を見る限りでは、兄さんは彼女に押されっぱなし。そんな事では、兄さんが彼女に『刻印』を行使できるという保証はどこにもありません」
怒りの双眸で瑞樹を見下ろしたまま昇は拳を握り締める。
確かに『人格統合方程式』など、『対極分割』を施した者でなければ、行使する以前に方程式を発見する事そのものがほぼ不可能だ。
……最悪の場合は……