切り札
眼を覚まし、むくりと体を起こす。時計はすでに九時を回っている。と、言っても夜の九時だが。あの後、昇は昨夜負った傷の治療に専念するべくひたすら食い、眠り、食い、を繰り返した。
コアラのような生活がしたい、という気持ちが昇の心中に無きにしも非ずだろうが。
「大分回復したな。これなら、何とかなるだろう」
動きやすいジャージに着替え、ジャケットを羽織る。ポケットの中には数枚の呪符と、護身用のダガー。
いつ『死影』に襲われるかわからない身ならば、常に用心しておくべきだろう。そして昇は水晶のように輝く石を三つ程取り出し、
「これが、対ジジイ殺害犯の切り札になってくれりゃあな」
願いを込めるようにポケットの中に突っ込んだ。