三日月の絆その4

選択

選択

(……それが、貴方の最大の欠点でもあるのよ)

……どういう意味なんだ?

彼女の背を見つめながら昇は頭の中で何度も反芻する。

だから、昇はついに気付く事がなかった。

玲於奈が『また明日』とは言わずに。

『さよなら』という言葉を用いた、その意味に。

ネオンが街を灯すビルの屋上で、純白のコートが風になびく。

眼下に広がる光の宴を見る少女の表情はいつになく厳しい。

「……命というものは、まさしく光のようね。光陰、矢の如し、だったかしら」

あまり口を開かない彼女が、いつになく雄弁に語るのは何故か。

細く、白いその手を握り締め、

「……皆の敵を討つためには、奴を探し出す事が最低条件」

憂いに満ちた青い瞳を閉じる。

「そのためなら、どんな犠牲も……厭わない」

震える声は、しかし自らの想いによって何よりも強固なものになっている。

今宵の宴が終わるまでには、彼と決着をつける。しかし彼が宿すあれに、衰えきった自分がどこまで太刀打ち出来るか。

何より。

本当に自分は、彼を殺せるのだろうか。

「……殺せるかどうかじゃない。殺さなければならないのよ」

自らに課した残酷な言葉。

その言葉には、どんな思いが込められているのか。

それを知るのは、彼女のみ。